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2010年01月01日

お久しぶりです。

 新年明けましておめでとうございます。

 旧年中はご愛顧頂き有り難うございます。殆ど放置状態にも関わらずアクセスして頂いた方に感謝の気持ちを抱かずにはいられません。

 ご存知の通り、昨年は、あまり更新することが出来ませんでした。

 今年は、月に一本のペースを目標に記事をupしていきたいと思います。何卒、今後とも、この心琴拘束〜映画とコラムな日記〜を宜しくお願い致します。

 それでは、失礼します。

 Genken
posted by Genken at 11:31| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月17日

告知です

 今回は、告知です。

 東京ビックサイト東1ホールにて10月14日(水)〜16日(金)に開催される、東京コンテンツマーケットに出展する運びとなりました。個人的には凄く嬉しいです。39番ブースにて、MasaHills(マサヒルズ)という場所になります。共同作業にて、進めていたシナリオが展示されます。

 細かい内容は書けませんが、iphoneのコンテンツとして風船を主人公にしたi絵本、風船ふわふわ、ゲームとして、京都を舞台に繰り広げられる、オカルトミステリーなどの2作品を含めた6作品を展示致します。

 東京近郊にお住まいの方は、平日ですが、お寄り頂ければ幸いです。

 尚、詳しい場所などは、下記のURLにアクセスしてください。

 http://tcm2009.jp/まで。

 どうか、宜しくお願い致します。
posted by Genken at 07:38| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月29日

ザ・マジックアワー



2008年6月公開

監督 三谷幸喜
出演 佐藤浩市 妻夫木聡 深津絵里

 人は窮地に立たされたときにどのようにして切り抜けるのだろう?

 やはり、知恵がないと生き残れない。どれだけ知識があっても、それを応用しないことにはいけない。まさに、この映画は窮地に立たされた人間が他人をも巻き込んでいく物語である。

 簡単にあらすじを述べよう。港町の守加護(すかご)を牛耳るギャングのボスである天塩(西田敏行)の愛人マリ(深津絵里)に手を出してしまった備後(妻夫木聡)。命を助けてもらう条件として伝説の殺し屋であるデラ富樫を5日以内に連れてくることを突きつけられる。もちろん、伝説と言われるまでの殺し屋だから、そう簡単には見つからない。そこで、追い込まれた備後は無名の役者である村田大樹(佐藤浩市)をデラ富樫の替え玉として殺し屋に仕立て上げることであった。村田には映画の撮影だと思い込ませ、ボスの天塩にはデラ富樫だと思い込ませることに。その思惑は見事に成功するのだけれど、備後が考えもしなかった展開になっていくのであった。

 この作品は「映画の中で映画を再現している」と言ってもいいくらいだ。どのようにして映画が作られていくのかを追体験出来る。過去に、様々な映画のDVDでメイキング映像とか見たことがある。そう言う意味では、このザ・マジックアワーという映画は大掛かりなメイキング映像と言ってもいい。

 ただの大掛かりなメイキング映像とは違い、ちゃんと物語があり、ハラハラしたり笑ったり、ホロっとしたりする。人情喜劇とも言える作品にちゃんと仕上がっているのである。この辺りは、さすが三谷幸喜ならではと言える。

 僕が特に気に入っているシーンは、ボスと村田大樹演じるデラ富樫が初めて合うシーンである。このシーンがとてもシュールな作りで面白い。それに、騙し通そうとする備後の慌てふためいている姿も滑稽である。ラストのシーンで、ボスと、村田大樹が演じるデラ富樫との掛け合いも面白い。

 これ以上、書くとネタバレになるので未見の人には申し訳ないので止めておく。随所に細かい笑いが散りばめられているので、最後まで見ていて飽きさせない作りになっている。

 冒頭でも書いたように、人間、窮地に追い込まれるとどんな対応をとるか迫られる。そこで、どれだけ知恵を出せるかである。しかも、自分が予測しない方向へと事態が流れていっても、それを逆手にとる知恵も必要であることも、この映画では教えてくれる。

 この作品も、何度観ても飽きることはないのでジックリと鑑賞してもらいたいものである。

オススメ度 ★★★★★ やはり、知恵は重要です。

ランキング今日は何位?
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2009年06月17日

容疑者Xの献身



2008年

監督 西谷弘
出演 福山雅治 柴咲コウ 堤真一

 今まで、ミステリー映画を観て僕は一度も泣いたことがなかった。

 けれども、この作品を観て初めて泣いてしまった。あまりにも哀しい結末。僕は想像すら出来なかった。それは、ひとえにこの映画は、単なるミステリー映画ではなくて、人間ドラマに比重が置かれているからである。そのことは追々触れていこう。

 堤真一演じる天才数学者石神。大学時代の友人である福山雅治演じる物理学者である湯川学。彼らの行き詰まる頭脳戦もさることながら、友情に揺れ動いたり、無償の愛によって突き動かされたりしている。

 劇中では、興味深い台詞が幾度となく出てくる。かいつまんで書いていこう。

 ひとつ目は、湯川と石神が再会したときに交わされる会話。

 湯川がこう切り出す。「山登りは数学に似ている。頂上はひとつ。そこに行き着く何通りの方法から、最もシンプルで合理的なルートを見つけ出すか」

 それに対して、石神は、「まだ数学には、前人未到の山が残っていると答えている」

 後、刑事たちが石神のもとへと行ったときに交わされた会話。

 「石神先生の作る問題は難しそうですね」という問いに対して、彼はこう答えている。

 「難しくはありません。単純な引っかけ問題ばかりですよ」

 「引っかけ問題?」と聞く。それに対して石神は「例えば、幾何の問題に見えて実は関数の問題だとか、少し見方を変えれば解るはずなんです」と答える。この、幾何の問題に見えて実は関数の問題。これは、後に何度も台詞として出てくる。

 柴咲コウ演じる内海と、北村一輝が演じる草薙が、湯川と食事をしているシーンでもこの台詞が登場してくる。まずは、そのまえに、抑えておきたいポイントがある。

 それは、湯川自身が語った言葉である。「数学者と物理学者とでは、答えに辿り着くまでのアプローチが正反対だ。物理学者は、観察し、仮説を立て、実験によって実証していく。しかし、数学者は、数をあまたの中でシュミレーションしていく。つまり、数学者は問題を様々な角度から見ることによって、謎の正体を明らかにしていく訳さ」

 この食事シーンでも先程の会話が再現される。内海が、「確か、石神も同じようなことを言ってました。少し見方を変えれば解るはずだ」と。そして、草薙が後に続く。「幾何の問題に見えて実は関数の問題」。

 湯川は「いかにも彼らしい」と答える。

 場面が変わり、石神と湯川は山を登ることになる。そこで、交わされた会話も同様である。湯川が石神に対して、「面白い話を聞いたよ。君の問題の作り方について。幾何の問題に見せかけた関数の問題。つまり、思い込みの盲点をつくる」。

 この作品は、まさに、思い込みの盲点をついた映画である。冒頭でも書いたように、一見、ミステリー映画のように思い込んでいるが、見方を変えると人間ドラマに比重を置いた作品となっているのである。

 そして、ラストシーン間際に内海と湯川が交わしている会話にも注目したい。敢えて、一部分を省略して再現してみたい。

 湯川は、こう切り出す。「石神と再会したとき、彼は僕にこう言ったんだ。君はいつまでも若々しいな。羨ましいよ。驚いたよ。石神と言う男は、自分の容姿を気にするような人間じゃなかった」

 内海は「教えて下さい。石神は一体何をしたんですか?」

 それに対して湯川は、「僕が、この事件の真相を暴いたところで、誰も幸せにはなれない」

 たまらず内海はこう切り返す。「こんな終わり方で良いの?私の知っている湯川先生は、感情に流されず、常に論理的で、誰よりも真実を追究する人でした。もし先生が、痛みに耐えられないなら、私も一緒に受け止めます」

 悲痛な面持ちで湯川はこう呟いた。「刑事ではなく、友人として聞いてくれるか?」

 戸惑う内海。それでも「友人として、ハイ」と答える。

 意を決したかのように湯川は「この事件の結論は全て僕に任せて欲しい」

 このやり取りからでも伺えるように、湯川自身も石神に対して複雑な気持ちを抱いていたことが解る。この苦悩は、石神に対して、湯川がある数学の問題を思いついたからである。

 その問題とは、「誰にも解けない問題を作るのと、その問題を解くのとでは、どちらが難しいか?但し、答えは必ず存在するとする」

 それにたいする石神の解答は「なあ、湯川、あの問題を解いても、誰も幸せにはなれないんだ」であった。この言葉が最後まで湯川を苦しめていたのである。

 ミステリー映画としても楽しめるが、それ以上に人間ドラマとして楽しめる希有な作品であると言える。観ているこちらとしては、完全に思い込みの盲点をつかれた感じである。出来ることなら、最低2度は観て欲しい。一度目は、単に、ミステリー映画として楽しんで欲しい。至る所に、ヒントが隠されている。そして、二度目は、人間ドラマに比重を置いてみて欲しい。それは、本当に哀しい物語である。

 大抵のミステリー映画は一度観てしまえば飽きてしまうものだが、この作品に関しては、人間ドラマとして観ると飽きることはない。人それぞれが抱える問題。それにスポットライトをあてている。お勧めです。

オススメ度 ★★★★★ 無償の愛に突き動かされた人間の悲哀を感じて下さい。

ランキング今日は何位?
posted by Genken at 04:18| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画(や行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月15日

妄想小説 食べ歩記

お久しぶりです。

DVDは観ているんですが、最近、なかなか記事に出来ていません。
なので、エッセイみたいな妄想小説を書いてみました。
まあ、息抜きで読んで頂ければ幸いです。それでは!




 今日は行きつけの居酒屋が休みなもんで、どこか手頃でいい店がないのか探しながら歩いてみた。いつもは見慣れた街並みなのに、どこか新鮮さを感じる。今までは、何気なく通っていたのだけれど、こうしてつぶさに観察して歩いてみると新たな発見があって何だかワクワクして楽しい。

 あっ、こんなところに新しくパン屋が出来ている。以前利用していたけれど、長い間、通っていなかった本屋はまだ潰れずに残っている。ここにあった酒屋は潰れてコンビニに変わっている。などなど、改めて、日々の雑事に忙殺されていることに気づかされる。たまには、こういった感じで街を歩くのもいいなと思う。

 そこで、一軒の居酒屋に目がいく。その居酒屋は表通りから少し入った野路裏にひっそりと佇むように建っていた。店の雰囲気もどことなく家庭的な雰囲気を醸し出している。僕が好むような店のたたずまいである。

 表に出てあるメニューの看板を見ると、値段は高くなく、どちらかと言えば、安い居酒屋である。パッと眺めると、最も高いものでもカキフライ\600くらい。ちなみに生ビールの中ジョッキは\450。割と庶民的な値段である。ここに入ろうと決意をする。

 何にしても、初めての店と言うのは緊張する。どんな人がやっているのだろう。気難しい主人なのか、それとも気さくな人なのか、肝心の料理の味はどうなのかなどと、心配事は尽きない。それでも勇気を振り絞って居酒屋の暖簾をくぐることにする。ドアも自動ドアでなく引き戸なのがいい。どれどれと引き戸をひこうとすると、固くなかなか開かない。ちょっと力を入れてガラッガラッと引いて開ける。

 「いらっしゃいませ」と明るい声で女将が僕を出迎えてくれる。どうやらひとりで切り盛りをしているらしい。店の内装はと見ると、カウンターはコの字型。想像していたよりもゆったりと座れるつくりになっている。座敷は奥にひとつあるのだけれども殆ど使われていないらしい。所々に何か荷物らしきものが置かれている。

 立ち寄った時間が少し早かったので客は僕ひとりだけだ。ゆっくりとカウンターの奥に陣取る。まずは生ビールの中ジョッキを頼む。キンキンに冷えたジョッキにビールがなみなみと注がれている。ビールと一緒につきだしが運ばれてくる。つきだしはひじき。それを一口頬張る。ん、なかなか味付けがしっかりしている。料理も期待できそうだ。そんな思いを抱きながらビールを飲む。やはり、生ビールは最初の一口がとても美味しい。

 それから、おもむろにメニューを片手にとる。まず、僕はその店の味がどんなものなのかを判断するため、出し巻きと、揚げ出し豆腐を頼むことにしている。どちらもメニューにあり、少しホッとする。とりあえず、その2品と、豚の角煮もあるので、それを頼むことにする。女将は手慣れた手付きで次々と調理を始める。僕は調理されていくのを見ると嬉しくなる。

 最初に、出てきたのは出し巻き。大根おろしを横に添えている。ボリュームもかなりある。まずは大根おろしに醤油を少したらす。それに七味唐辛子もパラパラとふりかける。それだけ下準備をしてから、何もつけずに出し巻きを一口食べる。ダシも程よくきいていて僕好みの味に仕上がっている。それから、大根おろしを出し巻きにのせて食べる。大根おろしに少したらせた醤油と七味唐辛子がきいていて、ダシとの相性が抜群である。ん〜、本当に美味しい。

 次は揚げ出し豆腐が出てくる。うすい衣が豆腐を覆っている。その上には、大根おろしと少量のもみじおろしと刻み海苔が乗っかっている。それに腰の辺りまで、少し濃いめのダシにつかっている。衣はおもったよりサクサクしている。ダシをみていると微かに脂がういている。レンゲでそのダシをすくって飲んでみる。これが思っていたよりもしつこくない。逆にアッサリしていて美味しい。

 ここで、生ビールを飲み干しておかわりを頼む。僕はどちらかと言うと、少しだけ味が濃いめのが好きだ。というのもビールがすすむからである。生ビールのおかわりが来た。生ビールを飲みながら、豚の角煮が出てくるのを待っている。洒落た陶器の皿に盛りつけられてやってくる。皿の縁には辛子がついている。辛子を角煮につける。

 そして、箸をいれると柔らかくて一気に切れる。その姿をちらりと一瞥する。見てみると豚の脂と肉とが何層にも重なっている。お箸でつまみ上げると、今にもほろりと崩れ落ちそうである。そっと口に運び入れる。噛まなくてもいいくらいだ。口に入れた瞬間にとろけるような食感に出会う。角煮はこうでなくっちゃいけないなと思いながら、ビールを口に運ぶ。

 思わず、ふ〜っと溜め息をついて煙草に火をつける。一服しながら、次に何を頼もうかと考える。カキフライも美味しそうだ。メニューをよく見るとひとり鍋もあるじゃないか。しかも日替わりみたいだ。どうしよ、まずは様子見でカキフライを食べてから、一人鍋を注文するかどうか考えよう。よし、カキフライを追加注文しよう。それとビールをもう1杯頼もう。

 「すみませ〜ん」と声をかけようとしたら、この店の常連らしき客が来た。見ると歳のころは50代〜60代前半。手慣れた様子で、「いつものお湯割り」と女将に声をかけている。その人は、チラチラとこちらに視線を送ってくる。今にも話しかけてきそうな雰囲気である。参ったな、ひとりで落ち着いて飲みたかったのに、と思いながら、カキフライと、ビールを追加注文する。

 ビールをちびちびと飲みながらカキフライが出来るまで、ひとりの時間を堪能しようとしていた。けれど、怖れていたのが現実となった。常連客のおっちゃんが僕に話しかけてきたのだ。人懐っこい笑顔で、「兄ちゃん、この店は初めてか?」と聞いてきた。「ええ、そうです」と僕はぎこちない笑顔で答える。

 さらに、その常連客は、たたみかけるように「ここの店が出す料理はどれもこれも美味しいんやで〜」と聞いてもいないことを言ってくる。僕は戸惑いを覚えながらも、「あ〜、そうなんですか」と答える。

 僕が当惑していたのが女将には分かったらしく、「もう、こちらのお客さんもこまっているでしょ。あんまり、気安く話しかけんとき」と常連客のおっちゃんに向かって言いながら、僕の方に向かって「ごめんね。気〜悪せんといてや。あの人は、いつもああなんやから」と笑いながら言ってくる。慌てて僕は、「イヤイヤ、気にしてませんから」と取りつくろう。

 普段は、見知らぬ人でも話しかけてくれば、話し相手になったり、話しかけたりするのだけど、今日はひとりでゆっくりと飲みたかったので女将が助け舟を出してくれて助かった。ホッと一息ついて、ビールを一口飲む。そして、カキを揚げる音が聞こえてきた。僕はこの音を聞くと心底落ち着く。何故だか、理由は良くわからない。

 そして、カキフライが僕の前に運ばれてきた。こんがりと揚がってカキフライが黄金色になっている。どれもこれも大粒で美味しそうだ。早速、揚がりたてのカキフライをタルタルソースにつけて頂く。衣はカリッと揚がっている。中に入っているカキもジューシーだ。それにしても熱い。口の中がやけどしそうだけれども止められない。タルタルソースも自家製らしくて、甘さの中にもほどよい酸味がきいている。なるほど、常連客のおっちゃんの言うとおりである。これなら、他の料理も美味しいに違いない。

 僕がカキフライに舌鼓をうっている間、女将と常連客のおっちゃんが世間話をはじめている。聞き耳を立てていた訳じゃないけど、大きな声で話しているものだから、自然と会話が耳に入ってくる。どうやらおっちゃんには、息子がいるらしい。その息子が、派遣社員として働いているものの、期間の途中で解雇を通告されたらしい。それを聞いた女将は、「大変やな〜、次の仕事は決まってんの?」と心配そうにしている。「いや、まだ決まってへんねん。次の仕事言うても、なかなか見つからんからな〜。息子もええ歳やし、ほんま、この先、心配やで」とおっちゃんは言っている。

 今のご時世、こんな暗い話題ばっかりやなとつくづく思う。今、僕はフリーで物書きをやっている。このところは不景気も重なって仕事が激減した。何とか糊口をしのいでいるけれど、僕も、この先どうなるかわからない身分だ。まんざら他人事ではない。いよいよ困ったときにはどこかに就職でもしないといけないと考えていた矢先のことだったので、身につまされる思いだ。僕も今年で38歳。再就職のことを考えるとお先真っ暗である。何だか、どよ〜んとした空気が店内に漂う。

 そんな空気を察知したのか、女将は「まあ、そんなに悪いことばかりおこらんから、そんなに思い詰めんときって。いざとなったら、仕事さえ選べへんかったら、あるって、それに、私かてこの店やっていくのもしんどいんやし、今は辛抱せなアカン時期とちゃうの?」と明るく、そして気丈に振る舞った。それもそうだ。飲食業界も、この不景気の煽りをくらっているもんなと僕は思った。

 「そやな、まあ、今は辛抱の時期やな。はぁ〜、まあ、息子のところは嫁も働いているから、今すぐにどうということは無いんやけどな。しばらくは息子もバイトなり、何なりしよるやろ、まあ、くよくよせんとこ、息子にもそない言うとくわ」と幾分元気を取り戻しておっちゃんは女将に言う。僕も思わず隣で、ウンウンと頷いた。あまり、目先のことばかり心配しても仕方が無いわ、まあ人間死ぬ気になれば何でも出来るから頑張ろうと、この会話を聞きながら思った。何だか、女将に元気をもらった気がする。

 結構、お腹が膨れてきたので、最後の〆にマグロの山かけと熱燗を頼もう。それを頂いてから帰ろう。わずかに残っていたビールを飲み干して、女将に注文する。程よいあつさの熱燗が出てくる。少し大きめのお猪口が出てきた。ちびちびと熱燗を飲みながら、マグロの山かけを頂く。これもまた絶品だ。マグロの赤身が新鮮で山かけもふわっとしていて口当たりがいい。それにわさびの量も適量である。ときおり鼻にツーンと抜ける。これがほのかに酔った僕にはたまらなく心地いい。

 何気なく入った店だが、何だか妙に懐かしい気分にさせてくれた。この店に入って良かった。料理もお酒も美味しく頂けた。それに、女将の明るい佇まいをみて、少しだけ滅入っていた気分も晴れた。少しだけ元気をもらえたような気がする。明日も頑張ってみるかという気分にもなれた。今度、来たときには、あのおっちゃんにも合えるだろうか。その時は、気兼ねなく話をしてみたいと思った。
posted by Genken at 19:10| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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