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2010年01月29日

風の歌を聴け



 村上春樹氏のデビュー作品。

 あらすじは、舞台は1970年の夏。海辺の町に帰省した僕は友人の鼠とジェイズバーでビールを飲んでいた。僕は偶然、そのバーで倒れていた介抱した彼女と徐々にではあるが親しくなる。だが、退屈な時間が二人を包みこむ。鼠は鼠で同様に退屈で苛立ちを抱えている。それぞれが問題を抱え込みながら、ほろ苦い時間だけが過ぎ去っていく。青春のはざまを描いた作品。

 この小説で、村上春樹氏は群像新人賞受賞をとる。

 独特の作風で、僕という一人称で物語が展開されていく。誰しもが一度は経験したことのある、やり場のない怒りであったり、永遠に続くかと思えるような退屈な時間。時間は限られたものとは感じなかった。いつまでも時間の流れは遅いものだし苦痛を伴っていたりもした。とんだ勘違いである。まさに、これは、若気の至りである。

 ただ、若いときにしか感じなかったであろうそういった心の震えや苦痛や怒り。今、僕は38歳。来月で39歳になる。この歳になってようやく、そのときに感じた心の震えというのは若さであり凡庸なことだったと理解出来る。それは、僕が今まで生きてきて得たものより失ったものが多いからである。

 村上春樹氏の作品を読むとき、僕が歳をとればとる程、考えさせられることが多いし、気づかされることも多い。何度読んでも全く色褪せないのである。素晴らしい作家である。

 最後に、この「風の歌を聴け」で気に入っている台詞があるので紹介したい。

 「条件はみんな同じなんだ。故障した飛行機に乗り合わせたみたいにさ。もちろん運の強いやつもいりゃ運の悪いのもいる。タフなものもいりゃ弱いものもいる、金持ちもいりゃ貧乏人もいる。だけどね、人並みはずれた強さを持った奴なんて誰もいないんだ。みんな同じさ。何かを持っている奴はいつか失くすんじゃないかとビクついているし、何も持っていない奴は永遠に持てないんじゃないかと心配している。みんな同じさ。だから早くそれに気づいた人間がほんの少しでも強くなろうって努力するべきなんだ。振りをするだけでいい。そうだろ?強い人間なんてどこにも居やしない。強い振りのできる人間が居るだけさ」

 この台詞は、老若男女を問わず当てはまる。この小説に限らず、村上春樹氏の作品は色々な示唆を含んでいる。是非とも一度手に取って読んで欲しいものである。何かしら、新たな発見なり気づきが出来るはずだから。

オススメ度 ★★★★★ 失った心の震えをもう一度味わえる作品です。

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posted by Genken at 10:38| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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