2006年3月公開
監督 アン・リー
出演 ヒース・レジャー ジェイク・ギレンホール ミシェル・ウィリアムズ
どこにも行き場所のない愛ほど辛くて切ないものはない。男同士による禁断の愛を描いた本作品。決して結ばれることの出来ない二人の関係。イニス(H・レジャー)とジャック(J・ギレンホール)。それぞれが家庭を持ち、やがて子供も産まれる。お互い頻繁にはあえなくて、その上保守的な土地柄のせいもあり禁断の愛など許されるはずもなかった。そんな厳しい現実が待ち受けている中でも二人の愛はとどまることを知らなかった。ジャックとの関係と妻との愛情に心揺さぶられるイニス。寡黙で不器用な生き方しか出来ない男であった。一方のジャックはイニスとは正反対で底抜けに明るく天衣無縫の男であった。
そんな正反対な二人だが、20年以上もその愛を途切れさすことはなかった。二人の愛を際だたせたのが、お互いの妻の存在であった。とくにイニスの妻であるアルマ(M・ウィリアムズ)が夫のもうひとつの顔を知ったときの表情。どこにもやり場を向けられない嫉妬や怒り。狂おしいほどまでの愛情や憎悪を丁寧に且つ慎重に描いている。ここにもやはり行き場所のない愛が描かれている。
誰かを真剣に長い間愛する。その行為は一見して簡単そうに思えるが、現実はそう上手くはいかない。例えば長年連れ添った夫婦の間柄で愛情も何もかも失い、熟年離婚などが起きている現象を見ればわかる。
だからこそ、この作品で描かれている愛はたとえ男同士だったとしても、とても純粋で羨望の眼差しで観てしまう。決して結ばれることのなかった二人。その間に流れていたのは無情の愛であった。なおさら、ラストシーンは目に焼き付いて離れない。これまでに純粋でひたむきな男同士の恋愛映画を未だかつて観たことのない作品であるのは間違いないだろう。一見の価値がある映画とも言える。
オススメ度 ★★★★★ これほどまでに真剣に愛せますか?
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