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2008年08月30日

ミュンヘン



2006年2月 公開

監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演 エリック・バナ ダニエル・クレイグ キアラン・ハインズ

 テロリストには屈しないという大義名分で報復する国家。そのために秘密工作員が動員される。彼らと言えども一般の人間と同じ心を持つ。最初は任務として割り切っていても報復と言う名の殺人を犯すにつれ精神的に疲弊していく。いくら国家のためとはいえ、人を殺すことには抵抗がある。その上、報復が成功すればするほど今度は自分たちが報復の対象となることになる。その心の葛藤を描いた作品である。

 時は1972年のミュンヘン五輪。五輪開催中に武装したテロリスト集団「黒い九月」と名乗るパレスチナ人たちが11人のイスラエル選手を人質にとる。最終的に11人の人質は全員死亡する悲劇が起きた。これを受けてイスラエル政府は犠牲者数と同じ11人のパレスチナ幹部の暗殺を決定する。諜報機関のモサドで活躍する5人の精鋭部隊を組織する。チームのリーダーとなったアヴナー(E・バナ)は、車両、後処理専門、爆弾製造、文書偽造、それぞれのスペシャリストを仲間に、ヨーロッパ中にいるターゲットを確実に仕留めるため冷酷な任務の遂行にあたることになるのだが……。

 過去を通して現代社会を鑑みることによりこの作品が持つメッセージが明確になってくる。テロとの闘いは永きに渡り行われてきた。その度に、テロには屈しないという態度のもと、報復合戦が行われてきた。結果、今でもテロとの闘いは続いている。この不毛な争いの中で何が産まれたのか。何もない。あるとすれば、憎しみの連鎖だけである。

 劇中の時代背景には東西冷戦が暗い影を落としている。KGBやCIAといった諜報機関が暗躍している時代。そこには何があったのだろうか。要人の暗殺などといった汚れ仕事もあったかもしれない。その後、世界は東西冷戦の終わりを知ることとなる。ベルリンの壁が取り払われ、ソ連も崩壊し、一見、平和が訪れたかのように思われる。しかし、現実は違った。独立を叫ぶものたちや世界の警察を自負するアメリカに対してテロは続いている。9.11の同時多発テロの行く末を見れば、テロとの闘いは未だ終わっていないことが判る。

 この作品が秀逸なのは、そんなテロとの闘いがいかに不毛かを描いている点である。誰かを始末すれば、その後釜が出てくる。終わりの見えない闘いである。最初は報復として要人を暗殺してきた5人のメンバーたち。報復が成功することにより、自分たちの身を危険にさらすことになるとは夢にも思わなかっただろう。一人、また一人とメンバーが暗殺されていくうちに、リーダーであるアヴィは恐怖を覚える。愛する祖国と家族のため任務を引受けたのだが、いつの間にか彼の心には猜疑心が首をもたげるようになる。これは報復と言う名の殺人ではないかと。自分の身や家族までも危険にさらしている状況にジレンマを覚える。その心の葛藤を見事に描写しているのである。

 歴史は繰り返されるというメッセージをこの作品を通して垣間見ルコとが出来る。現在も続くテロリストたちとの不毛な世界。真の平和は訪れないかもしれないという暗示なのかもしれない。一見の価値有りです。

オススメ度 ★★★★★ 歴史は繰り返される

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2008年08月29日

ダニー・ザ・ドッグ



2005年6月公開

監督 ルイ・レテリエ
出演 ジェット・リー モーガン・フリーマン ボブ・ホプキンス

 幼い頃に誘拐され、悪徳高利貸しのもとで殺人マシーンとして育てられたダニー(J・リー)。彼は闘犬のように扱われ常に首輪をしている。首輪を外すと相手に獰猛に襲いかかり闘いにあけくれていた。感情をなくしてしまったダニー。唯一興味を示したのがピアノだった。そんな彼は、ある日、盲目のピアノ調律師サム(M・フリーマン)と出逢う。やがて、彼に助けられて交流を深めていくうちに、次第に人間らしい感情を取り戻していくのだが……。

 およそ人間らしい生活を送っていないダニー。幼少の頃から殺人マシーンとなるべく鍛えられ次第に感情をなくしてしまった。そんな彼を、サムは詮索もせずに、暖かく迎え入れる。徐々に人としての心を取り戻していく姿には観るものを魅了する。家族とは何かを教えたサム。それに答えるダニー。だが、その幸せも長くは続かなかった。またしても悪徳高利貸しの手に捕まり、以前のような暮らしに戻らされる。ただひとつだけ違ったのは、ダニーが感情を持ち自分の意志で行動することになったことだった。

 ジェット・リーの華麗なアクションも見物だが、人間の心を取り戻していくドラマは非情に見応えがある。特に母親に対する記憶が徐々に見え始めた時に大きな展開が待ち受けている。

 この作品が秀逸なのは、幼い頃に誘拐され殺人マシーンとして生きてきて感情を失ったダニーが、いかに人間としての感情を取り戻していくかを丁寧に描写しているところである。観るものを惹き付けて止まないのである。アクションシーンも目が離せないが、それは端にこの物語のアクセントにすぎない。

 本当に大切なのは、家族と言う絆であることを教えてくれる作品である。一見の価値有りです。

オススメ度 ★★★★★ 人としての感情を取り戻す姿に注目して下さい。

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2008年08月25日

X-MEN ファイナルディシジョン



2006年9月公開

監督 ブレッド・ラトナー
出演 ヒュー・ジャックマン ハル・ベリー パトリック・スチュワート

 大抵の映画は続編を出していくうちに、クオリティーが下がっていくものだ。前作が良ければ良いほど、前作以上のものを作らなければならない重圧の中で、あれもこれもと詰め込んでしまい、結果クオリティーが下がるという訳である。ただ、この作品に至っては例外である。シリーズ3作目となる物語だが、クオリティーが下がるどころかむしろ前作以上の出来栄えとなっている。

 あらすじは、ミュータントの能力を消去して普通の人間になる新薬キュアが開発される。それに対して、マグニート率いるブラザーフットは、キュアの根絶を狙う。そのためにはキュア開発の鍵となる少年ミュータント、リーチの強奪に動き出す。一方、X-MENは人類とミュータントとの全面戦争を回避しようと奔走するのだが……。

 普通の人には持っていない能力。それが意味するのはその力をどのように使っていくかによって大きく意味合いが違ってくる。力をコントロールするのか、力に支配されるのかである。自分の私利私欲のために力を使えば、それは既に力に支配されているのである。

 しかもそんな力を持たない人間はその力に対して畏怖を覚えてしまう。羨ましいといった羨望の眼差しが、いつの間にかどうして自分には力がないのかという嫉妬心を芽生えさせる。それが根源となり、人類対ミュータントとの戦いの構図になっている。

 一方で、人類と共存する道を選ぶものもいる。それがX-MENたちである。自分の力をコントロールして決して力に支配されないようにしているのである。

 この作品の中で描かれているのは、人間誰しもが持っている虚栄心や嫉妬心、欲望を丁寧に描写している点である。

 その辺りを描いているのが前作で死んだはずのジーンの心の葛藤である。己の本能、欲望に対して素直である自分に嫌悪しながらもそれに抗えない自分がいることに苛立ちを覚える。もはやX-MENでなくなった彼女の行動ひとつひとつに哀しさがみることが出来る。

 それに加え、新薬キュアが出来たことにより、自分たちの能力に嫌気がさしているミュータントたちの心の揺れも上手く表現出来ている。反対に自分たちの能力を永遠に消し去ってしまうということに対して嫌悪感を抱きキュアに対して否定的な見解を持つものもいる。その辺りの感情を上手くまとめあげたのがマグニートである。

 本作品は、全ての事象を受け入れるか否かを描いた作品であり、ただ単にアクション映画で終わらせていないところが秀逸である。人間が持つ、さまざまな感情を丁寧に描いているという点においてもただのエンターテイメント作品ではなく、メッセージが込められているのがわかる。他民族国家のアメリカだからこそ出来た作品打とも言える。一見の価値有りです。

オススメ度 ★★★★★ エンターテイメント作品としても一流です

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2008年08月22日

ブロークバック・マウンテン



2006年3月公開

監督 アン・リー
出演 ヒース・レジャー ジェイク・ギレンホール ミシェル・ウィリアムズ

 どこにも行き場所のない愛ほど辛くて切ないものはない。男同士による禁断の愛を描いた本作品。決して結ばれることの出来ない二人の関係。イニス(H・レジャー)とジャック(J・ギレンホール)。それぞれが家庭を持ち、やがて子供も産まれる。お互い頻繁にはあえなくて、その上保守的な土地柄のせいもあり禁断の愛など許されるはずもなかった。そんな厳しい現実が待ち受けている中でも二人の愛はとどまることを知らなかった。ジャックとの関係と妻との愛情に心揺さぶられるイニス。寡黙で不器用な生き方しか出来ない男であった。一方のジャックはイニスとは正反対で底抜けに明るく天衣無縫の男であった。

 そんな正反対な二人だが、20年以上もその愛を途切れさすことはなかった。二人の愛を際だたせたのが、お互いの妻の存在であった。とくにイニスの妻であるアルマ(M・ウィリアムズ)が夫のもうひとつの顔を知ったときの表情。どこにもやり場を向けられない嫉妬や怒り。狂おしいほどまでの愛情や憎悪を丁寧に且つ慎重に描いている。ここにもやはり行き場所のない愛が描かれている。

 誰かを真剣に長い間愛する。その行為は一見して簡単そうに思えるが、現実はそう上手くはいかない。例えば長年連れ添った夫婦の間柄で愛情も何もかも失い、熟年離婚などが起きている現象を見ればわかる。

 だからこそ、この作品で描かれている愛はたとえ男同士だったとしても、とても純粋で羨望の眼差しで観てしまう。決して結ばれることのなかった二人。その間に流れていたのは無情の愛であった。なおさら、ラストシーンは目に焼き付いて離れない。これまでに純粋でひたむきな男同士の恋愛映画を未だかつて観たことのない作品であるのは間違いないだろう。一見の価値がある映画とも言える。

オススメ度 ★★★★★ これほどまでに真剣に愛せますか?

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2008年08月21日

エリザベスタウン



2005年11月公開

監督 キャメロン・クロウ
出演 オーランド・ブルーム キルスティン・ダストン

 誰しもが生きていく上で、大なり小なり挫折を味わったことがあるだろう。例えば、志望校に入れなかったり、仕事上でどうしても越えられない壁が立ちふさがる場合もある。そんなときに人は挫折を知り、それを乗り越えようともがき苦しむ。この物語は、そんな姿を叙情的に表したそんな物語である。

 あらすじは、シューズ会社に勤務するデザイナーのドリュー(O・ブルーム)はスニーカーのデザインに失敗して会社に約10億ドルもの損害を与えてしまい、会社をクビになってしまう。恋人からも距離をおかれ生きる望みを失ったドリュー。さらに追い打ちをかけるかのように父親が急死したと連絡が入る。そこで、彼は父親の遺体を引き取りにいくことになる。父親の故郷、ケンタッキー州のエリザベスタウンへと向かうのだが……。

 大きな挫折を経験して立ち直れるかどうかは本人次第である。ただ、その手助けとして友人なり恋人の存在が大きくなってくる。ふとした出逢いでキルスティン・ダスト演じる、客室乗務員のクレアと知り合いになったドリュー。複雑な思いを胸に秘めてあったことのない親戚たちに愛想をふりまかなければならない。そんな中で唯一心を癒してくれるのがクレアだった。次第に彼女に惹かれていくドリューだったが、挫折の痛手は大きく素直になりきれないでいる。

 ドリューの心の動きを描いているので、最初は揺れ動く感情のためか、多少ぎくしゃくしていく展開になるのだが、徐々に、彼の置かれている立場に共感を覚えていき、最後には感情移入してしまうという作品に仕上がっている。

 もし、自分がその立場に置かれたらと考えるといささか怖い。挫折を乗り越えようともがき苦しむ姿は観ているものも切なくさせてしまう。ドリューがいかにしてこの大きな挫折を乗り越えられたのかは、ほからなぬ、人と人との繋がりによって立ち直っていくさまを見て欲しい。観賞後は、ほのかに残る余韻と挫折からの脱却について考えてしまう。とても良い作品ですよ。

オススメ度 ★★★☆☆ 挫折を乗り越えた時に見える風景は何?

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2008年08月18日

電車男



2005年6月公開

監督 村上正典
出演 山田孝之 中谷美紀 国仲涼子

 一体この作品を何度観たことだろう。5回いやそれ以上か。数えるのも忘れるくらいに観ている。この作品の何が僕を惹き付けるのだろう。自分なりに考えてみた。観賞後のほんわかとした気持ちに包まれるからだろうか。それじゃ何故、ほんわかとなるのかを考えてみる。

 簡単にあらすじをいえば、ただのオタクの青年が酔っぱらいにからまれている女性(中谷美紀)を助ける。それから掲示板に相談することによって、電車男(山田孝之)が一歩一歩前進していく姿を描いた作品である。

 この原作とも言える2ちゃんねるの掲示板で書かれていたことに関して真実なのかそうでないのかは僕には関係ない。

 ただ、掲示板によって人と人との繋がりが垣間見えるところに、この作品の意義があると僕は考える。ただのオタクの青年が掲示板の住人たちとのやり取りにより人間は成長できるのだときづかされてしまう。

 それに、電車男が成長することにより、引きこもりの青年が外に出たり、家庭内別居している夫婦が元の鞘に納まったり、いつまでも失恋を引きずった女性が、吹っ切れたりという側面が描かれているからこそ、この作品の奥深さを感じる。

 人は人によって支えられ生きている。ネットと言う仮想現実の世界でも同じように勇気をもらったり、背中をおしてくれたりするものである。現実世界でくたびれている僕には勇気を与えてくれたり、背中を後押ししてくれる作品となっている。

 世の中にはいろんな形での出会いがあるものだ。その出会いを大切にしていきたいものである。そんなことを感じさせてくれる作品である。未見の方はもちろん、一度観た方も手に取って欲しい作品である。

オススメ度 ★★★★★ 人と人との縁は神秘的なものである

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2008年08月17日

それでもボクはやってない



2007年1月公開

監督 周防正行
出演 加瀬亮 瀬戸朝香 山本耕史

 痴漢というのは愚劣な犯罪であると同時に軽蔑すら感じてしまう。こと、痴漢の冤罪事件の場合はどうなるのか。終始やっていないと言う被疑者。そのことをろくに聞かずずさんな捜査をする警察。その調書を鵜呑みにしてかかる検察官。そしてその事柄を書面と被害者の証言だけで裁かれる法廷。どの場面をとっても背筋に冷たいものを感じる。僕は普段電車とかは利用しないが、もし自分がその立場に多々冴えたとしたらと考えるとゾッとせざるにはおえない。

 あらすじはフリーターの金子徹平(加瀬亮)はある日、会社の面接に向かうため通勤ラッシュの電車に乗っていた。そして、乗り換えの駅でホームに降り立った撤平の袖口を掴む女子中有学生がいた。「痴漢をしたでしょ」と問いただされる。まるで身に覚え尾内彼は戸惑いを覚えながらも得貴事務所へ連れていかれ、やがて警察へと引き和される。警察署や検察官の取り調べでも一貫して無実を主張するが、誰も耳を貸そうとうはしない。そしてついに決定的な証拠がないまま、起訴されてしまい、法廷で全面的に争うことになるのだが……

 疑わしきは罰せず、推定無罪という言葉すら見当たらないこの裁判の一部始終。もし、自分が被疑者の立場であれば発狂しそうになるくらい、人の揚げ足をとり、常に何らかの刑を与えることに終始する裁判官。全てが悪意に満ち溢れているとしか感じられない。

 これは何も痴漢に限ったことだけではない。日常生活においても似たような場面に遭遇することがある。例えば、仕事上におけるミスを引き起したりするとする。当然、ミスの原因を調べるのだが、誰が悪くて、誰が良くてという白黒を付けたがるケースがある。その場合、第三者が客観的に状況やら書面で確認するのだが、どうしても自分のミスでもないのに、その責を負わされることがある。

 そこには、短絡的なロジックを駆使して人を貶めるように物事が進んでいく。それはまるで疑似法廷みたいなものである。徹底して責任の所在を明らかにしなければならないといった意図が見え隠れしているのである。

 この作品が秀逸なのは、監督が痴漢冤罪事件を取材して練り上げた物語であり、細かいところまで綿密にリアルな展開を見せているところである。これまでの裁判映画では描ききれなかった場面がいくつも登場しており、最後まで観るものを惹き付けて話さない作品となって仕上がっているところである。

 ほんの些細なことで人生が一変するさまは観ているものを釘付けにするのである。決して他人事とは思えない作品である。未見のかたには是非一度観てもらいたい作品である。

オススメ度 ★★★★★ 緻密に描かれた法廷シーンを堪能して下さい

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2008年08月16日

昔の駄菓子屋と今のコンビニ世代

 今ではすっかりと見かけなくなった駄菓子屋。僕が幼かった頃は、あちらこちらに駄菓子屋があったものである。百円あれば充分に堪能出来た時代。くじ引きの一等のオモチャ欲しさに何度もチャレンジしたり、今では絶対食べられないような甘いだけのお菓子を食べたりして遊んだものだ。そんなお菓子やらくじ引きでスカを引いたりするのが楽しくて仕方がなかった。

 今思うに、くじ引きなど一等のあたりの券など入っていなかったように思える。子供心にギャンブルする楽しさを植え付けるための小道具に過ぎなかったのではないかと邪推してしまう。たった十円で何百円かいやもっと高額だったのかもしれないが、それを当てにいくために随分と悪時絵を働かした奴もいる。一等のあたり券を偽造する奴が出て来たりする。所詮、子供の浅知恵なのですぐに露見してしまい、コラッーとおこなれながらも逃げ出すのが楽しかったりする。

 僕らの時代で流行ったのが銀玉鉄砲だった。あまり威力がないが至近距離からうたれるとこれがまた結構痛い。折しも、石原裕次郎、渡哲也が出演していた「西部警察」などが流行っていたこともあり、撃ち合いをするのが楽しかった。小学校高学年になると、プラモデルでモデルガンを作る楽しさを覚えた。銀玉鉄砲から、プラモデルのモデルガンへと変わり、相変わらず、近くの神社の境内で撃ち合いをしていた。今度は火薬なので音だけであそんだりしていた。

 あと、よく遊んだのが爆竹遊びである。子供というのは時に残酷とも言える所業をやってのける。僕の友人Fはカエルをつかまえてはカエルの生側を剥がすことに恍惚を覚えていた。カエルにとってはたまったもんはないだろうか。そんなことを行っている僕もカエルやヤモリなどをつかまえては口に爆竹をくわえさせ火をつけて爆発するシーンを随分と楽しんだものである。今になって思えば残酷だが。それだけでは飽き足らず、今度は爆竹に火をつけどれだけギリギリまで持てるかと云うチキンレースをやったものである。僕も挑戦して何度かは手の中で爆発して痛い思いをしたことを思い出す。

 後は、友人のY君が住んでいるマンションで鬼ごっこをしたり、またしても爆竹遊びをしたりした。最上階まで昇っていき、爆竹に火をつけてから落下させて途中で爆発するのを見ると言う単純な遊びに興じたものである。しかし、度が過ぎれば学校に連絡が行き、マンションでの爆竹遊びは禁止となったのである。それも当然であるが。

 こうやって昔の遊びを思い出してみると、携帯用のゲーム機なんてもちろんない時代だが、子供なりにルールを作り楽しんでいたことを思い起こさせてくれる。今の子供たちが可哀相だとは思わない。時代に即した遊び方があるのだろうけれど、昔、僕らが味わった探検心とか冒険心というものが少し希薄になっているようで仕方がない。それに特定の少人数だけで遊ぶ傾向がある。僕らの時代は、同世代の男女やお兄ちゃんやちびっ子まで一緒に遊んだ記憶が片隅にある。しかも、その上、いたずらが度をこしてしまうと、叱ってくれる近所のおっちゃん、おばちゃんがいた。現代では考えにくいことだ。

 僕らが大人になるにつれ、親となった今、子供たちに伝えられるものは何だろうと考える。近所の悪ガキがやんちゃをしていても止めない、見て見ぬ振りをしたりする。これでは、礼儀作法や常識を教えないのと一緒である。自分さえ良ければそれでいいという風潮が僕たち大人を含め蔓延しているのである。それが故に、子が親を殺し、親が子を殺すという悲惨な時代になったのだろう。一昔前は、良い大学に入り、良い会社に入れば安泰だという幻影が空く長良図もあったが、バブル崩壊以後、その幻影すらみられなくなってしまった。そしたら今の子供たちは何を信じて生きていけば良いのだろうか。幸せっていうものを根本的に考え直す時期にきているのではないかと僕は考えている。出来ることなら今の子供たちは携帯用ゲーム機を置いて外に出てやんちゃをしてほしい。それで、ここまでやったら怒られるというのを肌で感じて欲しい。逆に僕を含め大人たちも知らない子供でも度が過ぎれば怒るということを勇気を持って実行してもらいたい。そうすれば、世の中がちょっとだけ住みやすくなるかもしれないから。
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2008年08月15日

マイアミ・バイス



2006年9月公開

監督 マイケル・マン
出演 コリン・ファレル ジェイミー・フォックス コン・リー

 スタイリッシュでクールな「マイアミ・バイス」1980年代に人気を博したTVシリーズを、マイケル・マン監督がリメイクした作品。「マイアミ・バイス」と言えばドン・ジョンソンのイメージが強すぎるが、この作品はそれらを越えて出来上がった別の作品として捉えた方がTVシリーズのファンにとってはいいだろう。

 あらすじ自体はそれほど複雑でもなく、おとり捜査の危険性を充分に伝えることに成功している。マイアミ警察が使っていた情報屋が衝撃的な死を遂げた。その上FBIの潜入捜査官2人もおとり捜査の現場で殺害される。なんとおとり捜査の情報が犯罪組織に流失している。ことを重く見たFBIは状況を打開すべく、マイアミ警察に協力を依頼する。それは麻薬ディーラーとして密輸組織に接触して情報漏れのルートを見つけ出すという作戦であった。孤立無援の特別任務であり、無事に生還出来るのは限りなくゼロに近い。そんな危険な捜査を二人の刑事に託される。特捜課のクロケット(K・ファレル)とタブス(J・フォックス)。さっそく犯罪組織への接触を図ろうと行動を開始するのだが……。

 とにかく、クールでスタイリッシュな物語の展開には舌を巻く。現実のおとり捜査はそこまで派手ではないだろう。ただ、それを忘れさせてくれるかのように、物語はテンポよく進んでいく。自らの危険を顧みず組織犯罪撲滅のために命を張るということは見た目以上に格好が良い。とにかく、理屈は抜きにして楽しめる作品となっている。オススメです。

オススメ度 ★★★☆☆ クールでスタイリッシュな映像美を堪能して下さい

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2008年08月13日

スカイクロラ

2008年8月公開

監督 押井守
声の出演 菊池凛子 加瀬亮 谷原章介

 一見、平和とも思える現代社会。でも、戦争はあちらこちらで行われている。ひとたびTVをつければ信じている宗教が違うといって争いが起こり、また、変革や自由を求めて自国の政府と戦う人たち。さまざまな情報が目に入り耳に聞こえる。そんな姿を見て僕たちは平和の有りがたさを知る。

 物語の舞台は、幾つかの大戦を経て、束の間の平和を手に入れた、今と良くにた時代。かりそめの平和を実感するために、人々は「ショーとしての戦争」を求めた。現代を生きる私たちが、テレビを通して戦争を「観戦」するように。戦闘機のパイロットとして戦うのは、”キルドレ”と呼ばれる子どもたち。彼らは年をとらない。思春期の姿のまま、永遠に生き続けるー空で死なないかぎりは。(パンフレットから抜粋)。

 ショーとしての戦争の側面には平和を甘受出来る社会であらなければならない。
劇中で草薙水素が発した台詞の中でその一面が垣間見られる。「戦争はどんな時代でも完全に消滅しとことはない。それは、人間にとって、その現実味がいつでも重要だったから。同じ時代に、今もどこかで誰かが戦っている、という現実感が、人間社会のシステムには不可欠な要素だから。そして、それは絶対に嘘では作れない。戦争がどんなものなのか、歴史の教科書に載っている昔話だけでは不十分なのよ。本当に死んでいく人間がいて、それが報道されて、その悲惨さを見せつけなければ、平和を維持していけない。平和の意味さえ認識できなくなるー空の上で殺し合いをしなければ生きていることを実感できない私たちのようにね」という具合に完全とも思える社会でも致命的な欠陥を持ち合わせているかのようである。

 それに加え、キルドレと呼ばれる子どもたち。彼らはどこから産まれどのように育ったのかそれすらも分からないでいる。ただ分かっているのは、年をとらず、思春期の姿のまま永遠に生き続けられるということ。空で死なない限りは。たとえ、空で死んだとしても、その特性を引き継いだものがまた現れる。未来永劫、その繰り返しである。ある意味、ずっと生き続けなければならないという苦痛と言う名の十字架を背負って生きているとも言える。草薙水素も、その十字架を背負い葛藤している。函南優一も新しい基地に配属される前の記憶を持たずにいる。そして前任のパイロットについて知りたがる。バラバラになったピースを拾い集めるかのように前任者の情報を求め続ける。それがひとつの絵として治まった時に、優一は自分たちに課せられた運命に立ち向かう決意をするのであった。

 この作品の秀逸なところは、現代社会にもある意味戦争はショーとかしている現実を風刺している点である。僕たち日本で育った人間は戦争についてあまり免疫のない世代が増えてきている。昔に起こった先の大戦の記憶を持ったものが少なくなりつつある現状。戦争の無意味さを教えてくれているのである。それに加え、空で死なない限り、思春期の姿のままで生き続けるという点。これは、一度は誰しもが望んだであろう永遠の若さ。ただ、その裏側では未来永劫変わることのない日々が待ち受けているだけの永遠と言う名の苦痛。それを終わらない戦争とキルドレという存在を上手く交錯させながら描いているというのは特筆すべきだろう。

 限りがあるからこそ、この世を謳歌できるのであって、決して終わらせない戦争やキルドレに代表されるように死なない存在というのはまぎれもなく幻想であるということを。この作品が持たらしてくれたメッセージを今一度噛み締める必要がある。

オススメ度 ★★★★★ この世は限りがあるからこそ美しい。

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2008年08月12日

Vフォー・ヴェンデッタ



2006年4月公開

監督 ジェームズ・マクティーグ
出演 ナタリー・ポートマン ヒューゴ・ウゥーヴィング スティーヴン・レイ

 もし、表現の自由、言論の自由を奪われたらあなたならどうするだろう。ただ、ジッと鳴りを潜めて生きていくのだろうか。誰もが距離を持ち、政策や体制の不満を胸に潜め生きていくのではないだろうか。独裁国家によって持たらせる悲劇。表向き平等な社会と秩序ある社会を標榜しながら、絶対的権力により、市民の自由を奪う矛盾した世界。その世界を解放すべく、たった一人で革命を起こそうという人物がいた。それがV(H・ウィーヴィング)であった。

 時代は、近未来のイギリス。そこは独裁者アダム・サトラー(J・ハート)が支配するファシズム国家であった。テレビ局で働くイヴィー(N・ポートマン)はある日、外出禁止時間に表通りを歩いていたところを運悪く秘密警察に捕まってしまう。窮地にたたされたイヴィーを助け出したのがVと名乗る仮面男に救われる。しかし、その男は、たった一人でサトラー政府に反逆を誓うテロリストであった。次第に、Vのテロ活動に深く巻き込まれていくイヴィー。やがてイヴィーは真実に目覚め自由と正義を取り戻すため革命のために立ち上がるのであった……。

 独裁国家にとって、市民が自由を手に入れることは非情に都合が悪い。メディアによって情報は改ざんされて、毒にも薬にもならない情報が垂れ流されていく。そんな状況下において、一人政府のもつ欺瞞を明らかにすべく立ち上がっていく姿を非情に丁寧に描いた作品である。かつて日本も同じように、戦時中メディアは検閲を受け、自国の政府の都合のいいように情報が改ざんされた経緯がある。声高に、政府が抱えている欺瞞を叫ぼうものなら、非国民となじられ投獄される時代であった。

 この作品が秀逸なのは、独裁国家が孕む危険性を描きながら、同時に市民たちの感情、葛藤を丁寧に描いているところである。日頃、思っていることを口に出せない苛立ちを仮面をくばることによってその感情を解放させるシーンは圧巻である。と同時に9.11同時多発テロによって引き起されたアメリカが中心となって押し進めてきた政治体制に対して強い懸念を反映させた仕上がりとなっている。ともすれば、アメリカもこのように独裁国家としてなり得た可能性を指摘しているところが特筆すべきところであろう。テロを許せない感情は分かるが行き過ぎれば自分たちがその罠に陥る危険性があることに、少しでも懸命な方は気づくであろう。

オススメ度 ★★★★★ 言論と表現の自由の有り難みを感じて下さい

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2008年08月11日

スパイ・バウンド



2005年1月公開

監督 フレデリック・シェンデルフェール
出演 モニカ・ベルッチ ヴァンサン・カッセル アントレ・デュソリエ

 この作品は、1985年に実際に起こった虹の戦死号爆破事件の実行犯である女スパイ、ドミニク・プリウールの証言を基に作られたものである。普通の生活を望む女性諜報員の葛藤と、パートナーとともに非情な国家に立ち向かう姿を描いたスパイ・サスペンス。

 派手なアクションシーンはないものの、観るものを惹き付けて止まないこの物語。あらすじは、旧東欧諸国から入手した武器を密輸する武器商人イゴール・リポヴスキーの貨物船を爆破する作戦が実行されようとしていた。作戦を指揮するジョルジュ(V・カッセル)はリザ(M・ベルッチ)と共に夫婦を装い、密輸船の入港先であるモロッコへといち早く入る。しかしリザはこの任務を最後に仕事を辞めて普通の生活を送りたいと考えていた。パートナーのジョルジュにもその旨を打ち明ける。そんな思いを抱きながらも任務に集中する二人。見事作戦は成功して、帰路に着く二人だったが、そこには思いもよらぬ罠が仕掛けられていた……。

 女性なら一度は夢見るであろう、穏やかな暮らし、子供を産み育てることを。そんな普通の生活すら夢見ることさえ女性諜報員であるが故に出来ないでいるリザ。普通の暮らしに何とか戻りたいと切望する彼女に国は非情なまでの罠を仕掛ける。それに気づいたリザは絶望を感じながらも新たな任務に着手する。一方、ジョルジュは、リザのことを思わんばかりに単独行動をすることに。果たして彼らの運命は如何に。

 綿密に練られた脚本によって物語に深みを与えることに成功している。見所としては、各自の思惑や葛藤を丁寧に描いているところである。ハリウッド映画みたいな派手さはないものの、この作品に引きずり込まれる力強さを感じる。スパイ映画と言えば、派手な逃走シーンやアクションばかりに目を奪われがちだが、この作品はそれらを極力描かないことにより、心理面での描写が巧みで観ているコチラもひとときも目を離せない作品に仕上がっていると言えよう。渋さが光る作品となっている。一見の価値有りです。

オススメ度 ★★★★★ 諜報員が抱える心の葛藤に注目して下さい

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2008年08月08日

ディック&ジェーン



2005年12月公開

監督 ディーン・パリソット
出演 ジム・キャリー ティア・レオーニ アレック・ボールドウィン

 ある日突然会社が倒産してしまったら。家のローンや車のローンなどさまざまな負債を抱えることになる。貯金を切り崩していってもいつかは破綻が訪れる。この作品はそんな悲喜こもごもを描いた作品である。

 IT企業ではたらくディック(J・キャリー)は順風満帆に仕事をこなしていく、妻ジェーン(T・レオーニ)と息子ビルとともに3人で幸せな毎日を送っていた。マイホームも手に入れ、部長への昇進も決まって、まさに幸せを絵に書いたような人生を送る。しかし、そんな幸せも長くは続かなかった。会社は突然倒産してしまう。思い詰めたディックとジェーンはコンビニを手始めに強盗を決行する。もともと勤勉な彼らは、犯行を重ねるごとに腕を上げていき、その手口も洗練されていくのだった。

 この作品は、ジョージ・シーガルとジェーン・フォンダの共演で77年に製作された「おかしな泥棒ディック&ジェーン」を、ジム・キャリーとティア・レオーニでリメイクした痛快コメディとなっている。

 コメディ作品だが、個人的には笑えない心境だった。現在の僕は無職。面接に行くものの落とされてばかり。そんな日々が続き、大切にしていたDVDや本、書籍などを売り、生活の足しにしていた。ディックとジェーンも売れるものは売り、子供が楽しみにしているTVまでも売ってしまう。とうとう売るものもなくなり、明日までに家のローンを支払わないと家を追い出されてしまう。そんな状況も僕は経験していたからだ。

 個人的な感情はさておき、見所は、多くの失業者を出しながら、トップである社長(A・ボールドウィン)は自ら極秘裏に自社株の売却をしてただ一人巨万の富を得る。そんな元社長に用意周到な復讐計画を立てるところである。最後の最後で見事な手さばきで復讐を果たすところは痛快である。

 ただ、先述したとおり強盗になるまでの過程が僕の歩んできた人生とオーバーラップするところがあるので、観ていて身につまされるほど痛かった。その分、笑えない作品となった。まあ、基本的には楽しめる作品なので、時間があれば観ても良い作品と言える。

オススメ度 ★★☆☆☆ 観ていて身につまされる作品でした

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2008年08月05日

プライドと偏見



2006年1月公開

監督 ジョー・ライト
出演 キーラ・ナイトレイ マシュー・マクファディン ドナルド・サザーランド

 言葉足らずで時に人はあらぬ誤解をうけることがある。本人にその気がなくても高慢な態度と捉えられることが多々ある。人見知りの性格が災いをもたらすのもそういう時だ。人見知りするが故言葉が上手く出てこずぶっきらぼうな態度が、相手に対して無愛想な印象をもたれてしまう。そんな不器用な男ダーシー(M・マクファディン)は、5人姉妹の侍女エリザベス(K・ナイトレイ)に悪印象を与えてしまう。さらにあらぬ誤解からダーシーへの嫌悪感をますます募らせるエリザベス。そんな二人が不器用ながらも、お互いに何故か気になる存在へとなっていくのだった……。

 この作品はジェーン・オースティンの「高慢と偏見」を映画化した文芸ラブストーリーである。18世紀末のイギリス。女性に相続権がないため、父親が死去した場合遠縁の男子が家も土地も継いでしまう時代。そんな時代に娘ばかり5人いるベネット家。母親はなんとか娘たちを資産家と結婚させようと躍起になっていた。そんな時代にも関わらず、見栄をはることも、男性に媚を売ることもせず、独立心が強い女性エリザベスを、キーラ・ナイトレイが素晴らしい演技で魅了して、主演女優として最後までこの作品をひっぱった。見事の一言に尽きる。

 高慢だと偏見をもったところから、その偏見をなくすまでの物語である。最初は小さな誤解から始まり、さらにエスカレートしてしまう。いつになったら二人の間に出来た溝が埋まるのか。観ているコチラとしてはこの作品にすでに引き込まれているのである。まるで文学作品を読んでいるかのようである。一言一言の台詞に重みがあり且つ伏線となって散りばめられている。まさに至極の作品と言えよう。一件すると地味な印象を受けがちだが、キャストの好演、飽きさせない脚本、練りに寝られているといった感じだ。後味の良い作品に仕上がっています。未見の方は是非観てもらいたい作品です。

オススメ度 ★★★★★ 至極のラブストーリーを堪能して下さい

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2008年08月04日

フラガール



2006年9月公開

監督 李相日
出演 松雪泰子 豊川悦司 蒼井優

 時代が大きく変貌をとげるとき。その流れについていく者や、頑なに拒む者もいる。だが、頑なに拒んだところで大きく時代がうねる流れには逆らえない。それは昔も今も変わらない。変化が持たらす影響はときに計り知れないほど大きい。何も時代の流れだけじゃなく、ちょっとした暮らしの中での変化でも同じことが言える。例えば、仕事上どうしても変えなければならない懸案事項があったとする。そのことについて、当然反発が起きるのである。というのも、人は基本的には現状維持の方が楽だからである。それが会社にとって利益を産み出し個人に還元されることを潜在意識の中では分かっていても、今の生活を大きく帰られたく変えられたくないから、必ず衝突が起きる。これはある意味仕方のないことではある。

 時は昭和40年。福島県いわき市の炭坑町。時代の流れは石炭から石油へと変わっていき、閉山が相次いでいた。街は先細りの一途を辿っていく。そこでどうにかしようと豊富な温泉を利用したレジャー施設の建築が計画された。常磐ハワイアンセンターとなづけられた施設の目玉としてフラダンスショーのダンサー募集が地元の少女たちに対して行われた。東京からプロのダンサー平山まどか(松雪泰子)が呼ばれ、地元の少女たちに教えようとするのだが、教える相手がズブの素人と分かり、やる気を失ってしまう……。

 松雪泰子演じる平山まどかも東京から福島県の田舎町にたどり着いて変化に戸惑う。最初は教える気などなかったまどかだが、少女たちが持つ現状を変えたいという強い意志によって次第に心境の変化が訪れる。一方、すたびれていく炭坑の街を変えたいと強く願う紀美子(蒼井優)。変化を畏れる母との葛藤や、兄洋二郎(豊川悦司)の戸惑い。どれをとっても変化を持たらすものばかりであった。それは何も個人だけの問題ではなく、町も時代の流れによって大きく変化を求められているのであった。相次ぐ閉山によって労働者たちのリストラ。それに歯止めをかけようと観光施設を作って町を救おうとする人たち。それを受け入れられない人たちの心の葛藤を丁寧に描いている。

 変化を嫌う人たちが、徐々に変化を受け入れていく場面もすばらしいものがある。それでいてラストシーンでのフラガールによるダンス。息をもつかせぬ出来栄であり圧巻である。このようにこの作品を変化というキーワードで観ていくと、時は違えど現代の社会でも当てはまるのではないだろうか。めまぐるしく変わる現代社会。それにうまく適合するものもいれば、出来ないものもいる。この作品から放たれているメッセージ。変化を畏れるな。そう言われているような気がしてならない。今一度、変化を畏れず絶え間なく自分を変えていかなければいけないと教えられた気がする。

 この物語は、現在「スパ・リゾート・ハワイアンズ」に改名した元「常磐ハワイアンセンター」誕生実話を映画化したものであるから、余計に実感がこもっているのかもしれない。実話を元にしているだけあって感動もひとしおである。必見です。

オススメ度 ★★★★★ あなたは変化を畏れていませんか?

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2008年08月03日

そのときは彼によろしく



2007年6月公開

監督 平川雄一郎
出演 長澤まさみ 山田孝之 塚本高史

 子供の頃友達とよく秘密基地ごっこ遊びをやったことを思い出す。その遊びは、どこか神秘的であり背徳的なものでもある。何たって秘密基地でありそこは秘密の場所なのだから。大人は入って来れない領域でもある。そこでは他愛もないものを持ち寄ったりして遊ぶのだが、秘密の場所で遊んでいるものだから子供心にも何かしら後ろめたさやスリルを味わうことが出来るのである。

 そんな秘密基地で遊んでいた3人の子供。滝川花梨、遠山智史、五十嵐佑司たちは放課後秘密基地で仲良く遊んでいた。それから13年後、遠山智史(山田孝行)は小さな店アクアプランツ(水草)の店トラッシュを営んでいた。そんな彼の店にある日トップモデルの森川鈴音(長澤まさみ)がやってきた。アルバイトとして雇って欲しいとのこと。いきなりそんなことを言われて戸惑う智史。だが、強引に鈴音は居着いてしまう。こうして奇妙な共同生活が始まるのだった。智史はどこか違和感を抱く。しばらくしてようやく彼女が13年前秘密基地をつくって一緒に遊んでいた花梨だと気づく。再会を喜んだ二人だが、もう一人の親友、五十嵐佑司(塚本高史)のもとへと尋ねていくのだが……。

 この作品は市川拓司による同名のロングセラー小説をもとに、長澤まさみ、山田孝之、塚本高史の共演で映画化したファンタジックな青春ラブ・ストーリの物語である。

 強い絆によってもたらされた数奇な運命。3人の人生が再び交錯した時に起こる不可思議な出来事。普通では考えられない出来事が彼らに襲いかかるファンタジーな世界観。そこには観るものを惹き付けて止まないものがある。観賞後は何か爽やかな印象を残してくれる。それにどこか子供の頃に描いた夢を思い起こさせる作品となっている。いつの間にか日々の雑務に追われて生活に疲れている人にとっては瑞々しい印象を与えて癒してくれる。もう一度童心に戻ってみては如何だろうか。ひょっとして忘れかけていたものを思い出させてくれるかもしれませんよ。必見です。

オススメ度 一度子供心に戻ってみては如何だろうか?

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2008年08月02日

プルーフ・オブ・マイ・ライフ



2006年1月公開

監督 ジョン・マッデン
出演 グウィネス・パルトロー アンソニー・ホプキンス ジェイク・ギレンホール

 誰しもが情緒不安定な時期を経験する。その時身内に精神を病んでいる人がいたらどうだろう。私も同じ病気かもしれないと不安にならないだろうか。

 この作品はデヴィッド・オーバーンのピュリッツァー賞を受賞した戯曲を映画化した作品である。あらすじは、天才的な数学の才能を持つ父ロバート(A・ホプキンス)が精神のバランスを崩してしまう。その彼を看病するためキャサリン(G・パルトロー)は大学をやめる。5年ともに暮らしてきたロバートとキャサリン。しかし、ロバートは一週間前に不帰の人となる。悲嘆にくれるキャサリン。

 そんな彼女のもとに、ロバートのかつての教え子ハル(J・ギレンホール)が現れる。ロバートが書き残した百数冊ものノートを検証するためだった。そんなハルを疎ましく思いながらもどこか気になる存在であった。いつしか二人は恋に落ちる。キャサリンはロバートのデスクの鍵をハルに渡す。そこにあったのは、これまで誰もなし得なかったある定理の証明が記されていたのだった。それを見たハルは興奮するも、キャサリンは、それは自分が書いたものだと主張するのだが……。

 人は誰でも自分はまともだと考えている。だがこの作品で描かれているように、介護疲れからくる情緒不安定。天才的な数学の才能を父から譲り受けており、精神のバランスをいつか自分も崩すのではないかという恐怖感出さらに不安は加速する。。自分もひょっとしたら父親と同じ病かもしれないといういわれの亡い恐怖感。それが引き金となり、さらに情緒が不安定になり、ヒステリックになる。

 ラストシーンでキャサリンはこう呟く。「振り出しに戻ってやり直そう。1行ずつ検証すれば、遠回りを省ける。前向きに生きよう」と。彼女は混乱した意識の中で前向きに生きる術を模索し続けていたのである。それが、やっと形となり、前向きに生きる決心をするのであった。もし、今、自分が情緒不安定な人や、実際に精神を病んでいる人が観れば、一条の光が射す作品となっている。観賞後は何か救われたような気になり余韻に浸れる。人生に疲れている人にとっては癒される作品となって仕上がっています。そういう方に是非観てもらい作品です。

オススメ度 ★★★★★ 心が癒される作品となっています

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posted by Genken at 12:54| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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