2007年4月公開
監督 ピーター・ウェーバー
出演 ギャスパー・ウリエル コン・リー リス・エヴァンス
誰にでも心の奥底にしまいこんでいたい嫌な想い出がある。それがふとした瞬間に思い出すのは苦痛でしかない。それが幼少期に負ったトラウマが大きければ大きいほど苦痛の大きさは倍増する。よく耳にするのは幼児期に親から虐待を受けた子供は成長して自分が親になったときに同じことを繰り返す傾向があると聞く。レクター博士が背負ったトラウマは妹の死であった。それは長い間レクター博士の心の奥底に封印していた出来事。それは妹が殺され食べられたことであった。
その後、心を閉ざしたまま孤児院で成長したハンニバル。やがて彼は脱走し唯一の親類を求めてパリの叔父のもとへと向かう。しかし、すでに頼るはずの叔父はこの世を去り、未亡人の日本人女性レディ・ムラサキが、ハンニバルを温かく迎える。ハンニバルは彼女のもとで高度な教育を受ける。ところが、ある日、市場で彼女が侮辱を受けたことをきっかけに、彼の封印されていた闇の扉が開き、内なる狂気が葬り去られた記憶とともに目覚めていくのだった・・・。
この映画の見所は、いかにしてレクター博士がカニバリズムに走らせたのかを描いている所である。ただ残念なのは、レクター博士の残忍さを際だたせるために序盤の幼少時代があまりにも冗長で途中だれてしまったところである。ただ、そのことが後にレクター博士への復讐へのカタルシスへとつながっていくので、致し方ないというところであろう。
たとえ幼少時代に心的外傷(トラウマ)を体験したからといって、すべてがすべてに置いて同様の体験をさせるということをする訳は無いだろうけれども、レクター博士の心の闇を垣間見せるという点においては秀作といえるだろう。
オススメ度 ★★★☆☆ トラウマによって抱える心の闇とは
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