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2007年07月29日

ユージュアル・サスペクツ



1996年

監督 ブライアン・シンガー
出演 スティーヴン・ボールドウィン ガブリエル・バーン ケヴィン・スベイシー

 時に人は真実を見誤ることがある。それはどういうことか?大抵の人はある事柄に対して先入観を抱いて物事を見てしまうことがある。その先入観を見抜きその人が聞きたいことを少しの真実と嘘をまぶして話をされるとどうなるか?先入観があるためその話を信じてしまう。しかも、自分がミスリードされていることに気づかずに自分で出した結論だと勘違いしてしまう。この作品が秀逸なのは、その卓越した脚本とカメラワークによって見事に鑑賞している我々を見事に騙されてしまうのである。すべてのピースがはまり見事に出来上がった絵が実は虚像だとわかった瞬間に崩れさる瞬間を味わえる作品と仕上がっている。

 物語は、カリフォルニア州サン・ペドロ港でアルゼンチン・マフィアの所有する船舶の炎上事故が発生する。それはコカインを奪おうとした犯罪者一味とマフィアの闘いの結果であった。一味の唯一の生き残りであるヴァーバル(K・スペーシー)を尋問していた関税特別捜査官クライン(C・バルミンテリ)は奇妙な話を聞くことになる。それは6週間前に起きた銃器強奪事件までさかのぼる。その容疑者として元尾汚職警官のキートン(G・バーン)、マクマナス(S・ボールドウィン)とフェンスター(B・デル・トロ)の強盗コンビ、爆破の専門家ホックニー(K・ボラック)、そして詐欺師のヴァーバルら5人は釈放後、協力して宝石強盗を敢行する。見事に成功して奪った宝石をさばくためにLAの故買屋と接触した5人はそこで新しいヤマを持ちかけられる。宝石だと聞かされていた物は、実は麻薬でトラブルから相手を射殺してしまう。そしてパニック状態となった5人の前には、伝説のギャングである”カイザー・ソゼ”の右腕と名乗る弁護士が現れて、次のヤマを指示されることに。それを聞いた5人は渋々従うことになるのだが……。

 この映画は監督のブライアン・シンガーにとって出世作となった傑作犯罪映画である。登場人物に善人などは皆無でピカレスク小説的な要素を持ち合わせ、閉塞的であり息詰まる心理サスペンス・ミステリーが繰り広げられていく作品となっている。何度、見返しても飽きない仕上がりとなっているので、是非オススメの作品となっています。

オススメ度 ★★★★★ 真実と嘘の狭間にあるものそれは幻?

ランキング今日は何位?
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2007年07月24日

西遊記

2007年7月公開

監督 澤田鎌作
出演 香取慎吾 内村光良 伊藤敦史 深津絵里

 今ほど約束の意味が軽く扱われている時代ではないだろうか。例えば、携帯電話が普及して約束の時間に遅れそうになると電話一本で許されて済まされる世の中。本来であれば約束の時間を守るというのは当たり前のことなのに出来ていないことが多い。こんなことを鑑みれば昔より約束が持っている重さが軽くなってきている。他にはドタキャンや約束を忘れるなど例を挙げればきりがない。一度約束したかぎりは何があっても守り抜くという悟空(香取慎吾)の姿はストレートに心に響き考え直されることがあるのではないだろうか。僕は少なくともそのように感じている。

 後、もうひとつ”なまか”の存在がいかに大切かをも描いている。劇中での悟空の台詞で「”なまか”がいる奴がこの世で一番つよいんだ」という言葉にも深いメッセージが込められている。人は一人だけでは弱い存在だが”なまか”がいるだけで、心強くなったりして力を合わせて困難な状況も切り抜けられるということである。誰しもが自分が苦しんでいる時に手を差し伸べてくれるのが”なまか”である。そんな大切な存在をあなたの周りを見渡せば一人や二人いるんじゃないだろうか。人は一人じゃ生きていけないということである。普段見過ごしやすいことを悟空のとっている行動や台詞で思い起こさせてくれるのである。素晴らしいことじゃないだろうか。TVドラマを見ていなくても充分に楽しめる内容に仕上がっている作品である。一人でも多くこの映画を見てもらいたいものである。

 物語は「西遊記」の中でも一番有名な、最大の強敵、金角・銀角、そして魔法の瓢箪のエピソードである。TVシリーズでは放映されなかった幻のエピソードと言える。見所は悟空と銀角・金角の戦闘シーンも見応えがあるものの、先述したとおり約束の大切さや”なまか”の存在がいかに重要かというのをストレートに表現しているので、子供から大人まで楽しめる作品に仕上がっているといえる。

オススメ度 ★★★★★ 悟空の台詞に感じ入ってください。

ランキング今日は何位?
posted by Genken at 23:58| 兵庫 | Comment(0) | TrackBack(1) | 映画(さ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月19日

出口のない海



2006年

監督 佐々部清
出演 市川海老蔵 伊勢谷友介 上野樹理

 僕がまだ小学生だったころ社会の授業でこんな宿題が出た。それは太平洋戦争について親にどんな経験をしたのかというものであった。僕の両親はともに昭和16年生まれだから集団疎開やら防空壕などの話を聞いた記憶が未だに鮮明に残っている。その宿題が出された授業のときに特攻隊や人間魚雷の存在があったんだということも知った。終戦間近には零戦に片道分だけの燃料を入れて特攻をしたり、人が魚雷のなかに入り特攻していったということを聞いて、幼かった僕は恐怖を感じたのを覚えている。戦争を知らない世代、つまり僕が親になってから子供に戦争について教えることをしていないのである。戦後の貧しかった時代についても親から聞いてもピンとこなかったのが正直な感想である。しかし、戦争を扱った映画を鑑賞するたびに思うのが社会がどれほど変わったのかを意識させられる。食べることに不自由せずにあまつさえ好き嫌いを言いながらお腹が一杯になったといい残してしまう。コンビニ弁当でも賞味期限が過ぎれば破棄される現状。反対に賞味期限が過ぎた食料を再利用したりと矛盾だらけの世界に様変わりしている。大人となった僕たちは大抵は自分のことを最優先にしてあまり他人のことは考えない世の中になったりしている。今僕たちが住んでいる世界が、戦時中にお国のためといいながら死んでいった若者たちが望んでいた世界なのだろうか。この出口のない海をみながら思わず考えてしまったことである。

 時代は太平洋戦争の終戦間近で敗色が濃厚になっていたとき、海軍は戦況を覆すために最後の秘密兵器として”回天”を開発する。回天とは定員1名で脱出装置なしの小型潜水艦。しかも大量の爆薬を搭載し前進しか出来ない代物である。そこに乗り込み自ら操縦して敵艦への自爆攻撃を仕掛けるというものである。物語は1隻の潜水艦に極秘任務(回天搭乗)を帯びた4人の若者が乗り込んでいた。その中の一人市川海老蔵扮する並木浩二の視点で丁寧に描かれている作品となっている。

 自爆攻撃をかける若者の微妙に揺れる心理について描いているのである。お偉方が考えているようなお国のためじゃなく、身近な家族であったり恋人のことを考えていたりするのである。甲子園の優勝投手である並木浩二は大学進学後に肩を痛めてしまう。それでも野球への情熱は衰えることはなかった。だが折しも時代は戦争へと向かっていようとしていた。そんな時代の風潮に翻弄されながら、並木浩二は自ら海軍へと志願し回天の極秘任務まで同様に志願する。この物語はそういった並木浩二の回想シーンを随所に散りばめ、彼の微妙な心理の揺れを感じさせられるような創りになっている。

 激しい戦闘シーンもなければ、お国のためにといった戦争を美化することもない。ただ淡々と並木浩二の視点で描かれているので派手な作品を期待していた人は少々肩すかしをくらうかもしれないが、冒頭にも述べたように若くして死んでいった若者たちが望んでいた世界が今の社会なのだろうか。そこを焦点にして見ると秀逸な作品に仕上がっていると僕は考える。最後に劇中での並木浩二が後世に”回天”といった人間魚雷があったということを伝えるために僕は死ぬんだという言葉がこの作品を読み解く上で重要なキーワードであると僕は考えている。

オススメ度 ★★★☆☆ 戦時中に考えていた平和とは今の世なのだろうか?

ランキング今日は何位?
posted by Genken at 15:38| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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